前回の総評
樋口 あゆ子 プロフィール
桐朋学園大学演奏学科ピアノ専攻卒業を経て95年同大学研究科終了。97年仏・パリ・エコールノルマル音楽院演奏家課程満場一致卒。現在、日本ベトナムピアノフェステイバル総音楽監督・実行委員長。毎週土曜18時45分~FM横浜ピアノワイナリー響きのクラシック司会。
総評 樋口あゆ子先生
KOSMA音楽コンクール・ピアノ部門2022アマチュア・クラシックフェスティバルホールin東京にご参加の皆さんお疲れ様でした!
今回は、これまでのピアノ部門の開催の中、最も接戦の会となりました!コンクール当日の参加の皆さんの演奏は、夏までPeatixにて配信されていますので、ぜひ、当日、お聴きになれなかった参加者さんの演奏を視聴してみてください!
今回の参加者さんの年齢は小学校低学年からシルバーの方々まで、約80歳の年齢差があります。80年というと、樹齢が2千年、3千年の高木の種類の樹木にとっては、苗木が樹木に成長し、それが大木に成長する段階での「培養の最中です。」音楽に向き合う姿勢は、樹木の培養と、とても似ているところがあります。「付け焼きはない、一筋縄ではいかない世界だからです。」
特に、ピアノの楽器演奏は、他楽曲と比較すると、ピアノという楽器1台で、オーケストラの音を奏でる事ができる唯一の楽器なので、音数が圧倒的に多く、それを習得するには、大変な時間がかかります。
さて、話を戻しましょう。今回の採点の結果は、あくまで、「2022年5月29日での結界」に過ぎません。ご参加の皆さんの心意気と情熱で、今後は、変わります!
どうか、皆さん、音楽を人生の友とし、ご自分が目指すピアノでの表現を、今後も切り開いていってください!そして、来年度、また、皆さんの情熱溢れるピアノ演奏を聞かせていただけることを楽しみにしています!
小林晴美 プロフィール
東京芸術大学卒業、同大学院修了。文化庁オペラ研修所第7期修了。第2回日本声楽コンクール第1位。第5回奏楽堂日本歌曲コンクール第3位。「ポッペアの戴冠」のポッペアで二期会オペラデビュー。以後「フィガロの結婚」スザンナ、「魔笛」パミーナ、「カルメン」ミカエラ、「チャルダッシュの女王」シルヴァ、「椿姫」ヴィオレッタ、「こうもり」ロザリンデ、「天国と地獄」ユリディス等、多数出演。二期会会員。武蔵野音楽大学講師。オペレッタ座副代表。
総評 小林晴美先生
コンクール出場者の皆様、この度はご参加くださりありがとうございました。コロナ禍の中、歌はまさに飛沫です。世間から考えればとんでもない事かもしれませんが、歌を楽しみに生き甲斐にしている私達は歩みを止める事は出来ません。
そんな中で勉強し続けコンクールに参加なさった皆様は本当に素晴らしい方々だと感じております。ありがとうございました。
そして、一番嬉しかった事は、音楽的に歌われている方が多かった事です。
声を出すことだけを考えずオペラならその役柄を思わせ、歌曲は詩の内容を伝える様に歌われていました。声を磨く事は大事な事ですが、そこで留まらず言葉を伝えることを大切にして欲しいと思います。その為には外国語の発音を勉強する事も大切ですね。日本語の発音も日頃話しているものとは違います。言葉を歌のフレーズと同じ様に発音しラインを描くように息を流して下さい。そうすれば声と言葉がいつしか一体となって飛んで行くでしょう。
皆様の益々のご活躍をお祈り致します。
そしてまたKOSMA音楽コンクールにご参加ください。
下司愉宇起 プロフィール
歌手、指揮者、作詞家。日光市観光大使。日光国際音楽祭実行委員長。全日本児童音楽協会理事。NPO法人子どもの脳・心・生命(いのち)を守る会特別顧問。東京芸術大学卒業。音楽誌「うたと合唱とオペラハンナ」編集委員。目黒区高齢福祉課講座講師。8音楽団体の指揮、音楽監督。平成音楽大学講師。
総評 下司愉宇起
2015年から毎年審査に当たらせて頂いております。コロナを克服し、新しい試みの中でコンクールを再開できたこと、大変嬉しく思います。アマチュアの愛好者層が増えることは、我が国の文化の礎を強固なものにしていると言っても過言ではありません。
月刊ショパンの故・内藤編集長から審査員を引き継いだ時より、ここ近年プロとアマチュアの垣根を越える水準に達している人も見受けられます。また、プロのコンクールでは垣間見ることの出来ないチャレンジ精神は、初心忘れるべからずと、私自身も学びを頂いております。
ピアノ部門においては、若年層の技術に目を見張るものがあります。一方で、大人の参加者たちは生涯学習としてピアノを愛する姿に幸せと感動を覚えます。
声楽部門は、以前のような大声勝負ではなく豊かな音楽性と知的理解が合間り、審査会議が難航するという嬉しい悲鳴でした。
近年では、音楽学校に在学していたり、卒業したもののプロ活動をしていない方々から挑戦の場としての要望が高まり、音楽専攻クラスを設けました。このクラスは少々厳しい目線で審査しております。出場者の皆さんは音楽的な技術や表現力だけではなく、立ち振る舞いやステージマナーなど舞台人としてのトータルコーディネートを目指して頂きたいです。
本コンクールのキャッチコピーに『小さなミスにこだわらず、大きな拍手を』というものがあります。今回満足な演奏ができた方の充実感も、ミスをしてしまった悔しさを抱えている方も感想は十人十色だと思います。その思いは再現音楽であるクラシックの特徴であり、生で奏でる音楽だからこそ掴むことの出来る感情なのです。
このコンクールは、来年も再来年も続きます。皆さんには華やかな人生の1ページとして、このコンクールに何度でも挑戦して頂けたらと思います。すばらしい演奏をありがとうございました。